肌の基礎知識講座|肌の仕組みとバリア機能
ご自分の肌のこと、どのくらい知っていますか?
『よい化粧品を使えば美肌が作られる』わけではありません。肌は様々な要因によって影響を受けやすく、ケアの仕方や生活習慣で良くも悪くも変わっていきます。
美肌を目指すなら、まずは肌の仕組みや皮脂のこと、ご自分の肌タイプを知ってみましょう。
皮膚の構造と皮脂の役割・肌のバリア機能について
下の図は、皮膚の大まかな断面図です。表皮は、厚さ約0.2mm程で、上から(一番外側)角質層・顆粒層・有棘層・基底層となっており、表皮と真皮の間には基底膜と言うとても薄い壁があります。
角質層は10~20層の角質細胞が重なっており規則正しく並んでいます。この角質層には、セラミドなど天然保湿因子や細胞の隙間をピッタリと埋める細胞間脂質などがあり、肌の潤いを守るほか、あらゆる刺激から肌を守るバリア機能としての役割があります。
さらに、角質層の一番上には皮脂膜があり、皮膚全体を覆って、肌の水分蒸発を防いだり、外的刺激から肌を守っています。
皮脂膜によって、角質層に水分油分を閉じ込め、肌は健康的な状態を保つことができますが、この皮脂膜が剥がれると角質層の水分が蒸発し、細胞間に隙間が生まれ、水分油分のバランスが崩れます。また、入浴などにより、肌内の天然保湿因子やセラミドなどが流れ出ると、ますます肌は乾燥しやすい状態に。肌のバリア機能が低下し、紫外線や花粉、ひどくなると服や化粧品など外的な要因に刺激を感じるようになります。
肌のバランスは、気候や食生活、ストレスや睡眠など様々な原因で崩れます。スキンケアをしっかりと行い、肌のバリア機能を維持しましょう。
ちなみに、化粧品が浸透するのは角質層まで。しかし、この薄い角質層が、油分と水分で細胞間の隙間を塞ぎ(ラメラ構造)、異物の侵入を防ぎ、潤いを保って美肌を作る大きな鍵を握っています。
この肌のバリア機能を維持するには、天然保湿因子やセラミドなど、もともと肌にある保湿成分を肌の外に出さないようにすることが、乾燥を防ぐポイントになります。肌の外に出さない、その役割を担うものとして、皮脂膜が大きな働きをしています。
年齢と皮脂量の低下
皮脂膜は、上の肌断面図でもわかるように、肌のバリア機能を維持するために存在する大事なプロテクターのうちの一つで、いわば天然の美容クリームです。
肌の健康を維持するのに欠かせない皮脂膜。しかし、この皮脂の分泌量は残念ながら年齢とともに、大きく下がってきます。
以下の折れ線グラフは1日のうちに皮膚から分泌される女性の皮脂量を表したものです。個人差はありますが、男女とも通常20歳をピークに皮脂の分泌量は少しずつ減っていきますが、男性が減りが緩やかなのに対し、女性は30代から急激に乾燥肌に傾いていきます。

皮脂量が減ると、水分が角質層から蒸発していく量が増え、角質層内の水分と油分のバランスが崩れます。肌のかさつき・ごわつきを感じるようになり、乾燥肌は皺やたるみ、くすみの原因に。
一般的に、男性の皮脂量は女性の皮脂量の約2倍で、男性は皮脂量が高齢者になってもそれほど下がらないのに対し、女性の皮脂量は30代以降急激に減少し、30歳で男性の70歳の皮脂量と同じ程度だと言われ、年齢を重ねるごとに肌の潤いを保つことは難しくなります。
あなたはどのタイプ?肌タイプで考えるスキンケア

細かく分けると、肌タイプも個人により様々ですが、一般的には右の四つに分けられます。
上二つの『普通肌』『脂性(オイリー肌)肌』は、水分量が多いため、肌がみずみずしく健康的な肌を維持できている状態です。
一方、下の二つは、水分量が少なく、バリア機能も低下、肌荒れしやすい状態の肌です。
こういった肌タイプは、日々のスキンケアはもちろん、食生活、睡眠習慣、ストレスなど様々な要因で分けられます。
ご自分の肌タイプを知り、スキンケアやメイク用品で対策することができます。
しかし、自分の肌タイプを知ることは簡単なようで難しいのです。
自分では脂性肌だと思っていても、実は水分量が足りない混合肌で、ニキビの原因は乾燥ということがあります。
その場合、ニキビのケア方法が違ってきます。脂性のニキビの原因(10代の思春期に多い肌)は、皮脂を餌にするアクネ菌なので、アクネニキビ用の化粧品が有効ですが、乾燥肌・混合肌のニキビ(30代の大人ニキビ)は乾燥が原因の場合が多く、保湿が肌改善の近道。
ニキビが出来やすい脂性肌の方は、椿油やオリーブオイルは、アクネ菌のエサとなりうるトリグリセリドが豊富なため、ニキビ肌に塗るのはおすすめしません。
乾燥肌タイプには、オリーブオイル・椿油などの油脂系のオイルがおすすめ。油脂は水分を抱え込み、高い保水力を発揮するため、角質層の水分と油分のバランスが整います。
それぞれの肌質に合ったスキンケアやメイク用品で、美容の質を高めましょう。
肌トラブルの原因と酸化する物質
『肌がさびる』という表現を聞いたことがあるでしょうか。これは、実際に肌の表面上で皮脂が酸化して、肌に影響を及ぼすことから『さびる』と表現されています。
皮脂は外気や紫外線に触れると、皮脂の中の油脂成分が酸化し、過酸化脂質に変化して不安定な物質へと変わります。この過酸化脂質は、肌に刺激を与えて活性酸素を発生させ、炎症を引き起こす原因となります。酸化した化粧品(開封して年月の経った化粧品など)が、肌に悪いのはこのためです。皮膚が活性酸素の影響を受けると、シミやくすみ・ニキビなどあらゆるトラブルの原因となります。使用しているメイク道具などは、定期的に洗浄して清潔に保ち、また、メイクに使うコスメや基礎化粧品などは開封してからどのくらい経っているかなど把握しておきましょう。
皮脂が酸化しやすい原因は他にもあり、ストレス・タバコ・運動不足・乱れた食生活・激しい運動など、生活習慣も大きく関わってきます。
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